7月から8月にかけての熱い時期、高温多湿の場所に長時間居たり、暑い日に激しい運動をすることにより、体内における熱の産出と体外への熱の放散バランスが崩れることにより、体内に熱がこもった状態のことを熱中症と言います。室内で何もしていなくても発症することもあります。
かつては、熱中症は「熱けいれん」「熱射病」とも呼ばれていました。近年では、室内で発症する非労作時熱中症も多く見受けられます。非労作時熱中症は、一人暮らしの高齢者に多いと言われています。室内に居る高齢者が徐々に体力と食欲が奪われ、脱水が進行し、持病の悪化や感染症の併発も手伝って、複合的な熱中症を発症します。一人暮らしの場合、体調不良が見過ごされてしまい、最終的に「動かなくなった」「横になったまま、返事をしない」などで救急搬送されるケースが多いです。
高齢者は、若者に比べ暑熱環境を不快と感じなくなり、のどの渇きにも鈍感なことが多いです。暑くてもエアコン使用などを避けたり、積極的な水分摂取が遅れる傾向があります。室内で発症する非労作時熱中症は、高齢の女性や一人暮らしの方に多く、精神疾患や高血圧、糖尿病や認知症などの持病があると重症化しやすいと報告されています。特に認知症の方が夏の暑い時期に徘徊し、倒れてしまうというケースが多く見られます。
また、乳幼児も熱中症弱者です。典型的な例は、車の中で取り残されているケースです。発汗機能、腎機能が未発達なうえに、自力で水分摂取出来ない、暑い環境から逃げ出さない等の理由が挙げられます。親が子どもの様子や体調を観察し、水分補給をまめに行なうことが必要となります。
・室内に温度計を置き、こまめに水分補給を心掛けましょう。
・地面に近いほど気温が高くなるため、乳幼児には特に注意が必要です。
・エアコンや扇風機で室温を調節しましょう。
・外出時は帽子や日傘を使用し、直射日光を避けましょう。
・体調が悪いときに、無理して外出しないようにしましょう。
日陰の風通しの良いところや冷房の効いた場所に移動します。体を横にして衣服を緩め、風を当てます。意識がしっかりしていれば、冷やした水を与えます。後頭部や太い血管が通っている両側の前頚部(首元)、両腋、鼠径部(そけいぶ=足の付け根)にも氷枕や保冷剤をタオルで巻いて当てます。意識がしっかりしていれば、応急処置を施しながら必ず誰かが付いて10分程度見守り、意識や体調不良が回復しない場合には、体を冷やしつつ医療機関へ搬送した方がよいでしょう。意識障害や水が飲めない場合には、すぐに救急車を呼びましょう。
対応が遅くなると死に至ることもあります。
少しでも症状が疑われる場合は、内科の受診をお勧めします。
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